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オリンピックから考えたトレーニングの本質
野球の千本ノックは有名です。
正確には覚えていませんが、日経新聞に乗っていた「私の履歴書」で長嶋選手の現役時代の逸話で、ノックを打つ人が一人ではなく3、4人がかりで暗くなりボールが見えなくなるまで繰り返したそうです。
グラブを落としても素手で取ったそうです。
ほとんど意識も無くなっても、身体が反射的に動いて捕球するまで練習したそうです。
巨人の星でも登場したので、日本人的には説得力がある練習方法です。
では、運動はすべて、同じように気合でやったほうが良いのでしょうか???
ところで、元巨人軍のピッチャーの桑田選手は有名な名選手ですが、
練習の時の1日の投球数は50球ぐらいと決めており、それ以上は肩の負担が大きいので投げなかったそうです。
本当に?って、思いませんでした?
・野手は飛んで来るボールを反射的に取るのが目的です。
・ピッチャーは、打たれない球を打たれない場所に投げるのが目的です。
当然トレーニングの意味も方法も違います。
長嶋選手がやっていた練習は小脳系の練習です。
ランダムに飛んでくるボールに対応する身体の反応速度をあげるためのトレーニングです。
当事者は経験則でやっていたと思いますが、繰り返すことにより、脳からの神経系が太くなり反応速度が上がるのです(脳の構造的に分析すると、制御の大部分を小脳系に移して反応速度を挙げようとする練習方法です)
しかし、ピッチャーは違います。
ピッチャーは1球毎に身体に大きな負荷がかかります。
どんなに体を鍛えても最終的な負荷は肩にかかります。
そのため、投球数には上限があります。
(大リーグでは肩は消耗品と考え、投球数には制限があります。)
そして、ピッチャーの場合は繊細なコントロールが求められます。
つまり、足腰、体幹などの十分な筋力を前提として、さらに繊細なコントロールがボールが指を離れる瞬間まで求められるのです。
すべてのスポーツは、そのポジションにより身体の使い方が違います。
当然、それぞれにあったトレーニング方法があるはずです。
でも、プロやオリンピックのレベルのコーチですら、科学的考えていない人がたくさんいるように感じています。
昨年、医師系のある学会でオリンピックのコーチのお話を聞きました。
あまりに原始的な考え方、科学的ではないトレーニング方法に驚いたのを覚えています。
4年後の東京オリンピックまでには、セラサイズを有名にしてオリンピックの秘密兵器にしていきたいと、改めて思う今日この頃です。
いまでも高校野球では、1000球投げないと甲子園に行けないという根拠が何もない噂がありますし、中学生、高校生の投げ過ぎによる怪我が問題になっています。
優秀な才能が残念ながら、発育前の怪我で消えていっています。
野球選手も相変わらず、筋トレで無駄な筋肉をつけて失敗する人がいます。
一方、イチロー選手や身体能力が高いことで有名なキューバの選手は、低負荷のトレーニングで高いパフォーマンスを出しています。
運動にも、もっと科学を入れる必要があります。